腰椎すべり症の特徴と原因
2025年09月09日 18:34
1.腰椎すべり症とは
背骨の一部である腰椎が前後にずれてしまう病気です。このずれによって、神経が圧迫され、腰や足に痛みやしびれなどの症状が現れます。
腰椎すべり症には、主に以下の2つのタイプがあります。
・腰椎変性すべり症: 加齢に伴う椎間板や関節の変形が原因で起こります。高齢者、特に女性に多く見られます。
・腰椎分離すべり症: 成長期のスポーツ活動などによって、腰椎の一部(椎弓部)が疲労骨折し、その部分が分離した結果として発生します。若年層に多く見られます。
2.主な特徴
腰椎すべり症の主な症状は以下の通りです。
・腰痛:腰椎の不安定性が原因で生じます。
・坐骨神経痛:ずれた腰椎が神経を圧迫することで、お尻から太ももの裏、さらには足先にかけて痛みやしびれが現れます。
・間欠性跛行(かんけつせいはこう):歩き続けると下肢の痛みやしびれが強くなり、休憩すると楽になる、という症状です。
・重症化した場合:排尿や排便の障害、足の筋力低下などが起こることもあります。
3.主な原因
腰椎すべり症の主な原因は、病気のタイプによって異なります。
腰椎変性すべり症
加齢に伴う腰椎の構造物の変性が主な原因です。
・椎間板の劣化:椎間板は背骨のクッションの役割を果たしていますが、加齢によって水分や弾力が失われ、不安定になります。
・椎間関節・靭帯の変性:腰椎を安定させる関節や靭帯がゆるみ、機能が低下します。
50歳以上の中高年、特に女性に多く見られます。女性ホルモンの減少も一因と考えられています。
椎間板や椎間関節の変性により、腰椎が不安定になり、じわじわとずれていきます。
腰椎分離すべり症
成長期に起こる腰椎の一部(椎弓)の疲労骨折が原因です。
スポーツ活動:野球、サッカー、バレーボール、柔道など、腰を反らしたり、ひねったりする動作を繰り返すスポーツをしている若年層に多く見られます。
成長段階の骨はまだ弱いため、繰り返しの負担によって疲労骨折を起こし、椎弓が分離します。
この分離によって腰椎の安定性が失われ、前方にずれてしまいます。
その他のリスク要因
上記以外にも、以下のような要因が腰椎すべり症のリスクを高めることがあります。
・筋力、柔軟性の不足:腹筋や背筋といった体幹の筋肉が弱いと、腰椎を支えきれずに負担がかかりやすくなります。
・遺伝的要因:家族にすべり症の既往がある場合、発症リスクが高まることがあります。
・ライフスタイル:長時間のデスクワークによる姿勢の悪さや、重い物を頻繁に持ち上げるような仕事も、腰への負担を増大させます。
・骨粗鬆症:骨の強度が低下することで、ずれやすくなります。
このように、腰椎すべり症は、個人の年齢や生活習慣、体質など、様々な要因が複合的に関与して発症する病気です。
4.一般的な対処法
①検査方法
・問診、診察:症状や日常生活での状態について詳しく話を聞き、神経学的検査(下肢の感覚や筋力のチェックなど)を行う。
・X線検査(レントゲン):腰椎のずれや骨の変形を確認します。腰を曲げたり反らしたりした状態で撮影することもある。
・MRI検査:神経や椎間板、靭帯の状態を詳しく確認し、神経がどの程度圧迫されているかを調べる。
・CT検査:骨の状態をより詳細に調べる。
②治療方法
・保存療法(手術をしない治療):多くの場合はまず保存療法が行われる。
・安静とコルセットの装着:痛みの強い時期には、腰への負担を減らすために安静にし、コルセットを装着する。
・薬物療法:痛み止めの服用や、炎症を抑える注射(ブロック注射)などを行う。
・リハビリテーション:腹筋や背筋といった体幹の筋肉を鍛え、腰椎の安定を図るための運動やストレッチを行う。
・手術療法:保存療法でも症状が改善しない場合や、神経症状が進行して日常生活に支障をきたしている場合に検討される。除圧術は神経を圧迫している骨や組織を削って、神経への圧迫を取り除く手術です。固定術はずれた腰椎を元の位置に戻し、金属のボルトなどで固定して安定させる手術。